本稿は『Why Your Next Electric Car Will Cost 50% Less!』(https://youtu.be/6ecV9Yu7YvA)の内容と各種補足報告から再構成した資料です。
アメリカの研究者(ライス大学)が開発したフラッシュジュール加熱(Flash Joule Heating:FJH)という技術により、従来数ヶ月かかっていたリチウムの抽出が数秒で可能になりました。この技術はリチウムだけでなく、金、銀、希土類元素(rare earth elements)などの重要な原料も効率的に回収できます。プロセスは極めて効率的で、有毒化学物質を使用せず、驚異的な速度で動作します。グローバルな電子廃棄物(e-waste)問題の解決策としても期待されています。
ジュール加熱(Joule Heating)とは、導電性材料に電流を流すと発生する摩擦熱を利用する原理です。
フラッシュジュール加熱は、この原理を極限まで強化したものです。時間を極端に短くし、電流を極大化します。
フラッシュジュール加熱は、原料抽出をより速く、清潔に、効率的にする可能性を秘めています。電子廃棄物から貴重金属を回収し、循環経済を加速させる革新的技術です。
フラッシュジュール加熱技術は、ライス大学(James Tour教授チーム)により2025年にリチウム鉱石抽出(Science Advances, 2025年10月)、希土類回収(PNAS, 2025年9月)、使用済みバッテリー総合回収(Advanced Materials, 2025年11月)の論文が相次いで発表され、注目を集めています。商業化を担うFlash Metals USA(Metallium子会社)は、テキサス州施設を2025年12月からコミッショニング開始し、2026年初頭に本格稼働へ移行中です。回路基板処理能力20トン/日で、貴金属・希土類の国内回収を目指しており、米国・西側諸国は中国依存からの脱却を強く推進しています。一方、中国・ロシア・イラン側は、既存の低コスト生産体制を維持しつつ、技術的自立を加速させており、グローバルサプライチェーンの再編が進行中です。リチウム価格は2026年2月時点で変動が大きく、中国市場で電池グレード炭酸リチウムが約20,768 USD/トン(約323万円、1ドル=155.55円換算)前後で推移しており、需要増と供給不安が価格を押し上げています。将来的にスケーリングが成功すれば、コスト低減と環境負荷低減が両立し、EV普及をさらに加速させる可能性が高いです。